東京・下北沢。新しい才能と音楽と文化が行き交う街から、事あるごとに関西のライブハウスにやってくる変なおじさん(通称:下北さん)からコラムを書いてほしいと依頼された。オファーを受けた際に下北さんから、「みずいろのなかのラブレター」を9月21日にリリースする”加速するラブズ“の記事を書いてほしいと言われた。ナウでヤングな最先端のミュージックがあふれる下北沢にまで、”加速するラブズ”の名前が響いていると聞いて、おもわず嬉しくなってしまった。
そう僕と”加速するラブズ”の付き合いは実は結構深くて長い。2年前の冬に8畳一間程度の広さの京都が誇る最高のライブハウス「nano」でライブを初めてみて以来の付き合いだ。僕がやっている企画イベント「宇宙規模の”ONGAKU”」に2回出演してもらい、フードでたこ焼きも出店してもらった。音楽以外でも付き合いがあって、Gt.Voのカーミタカアキとはクリスマスイブの真夜中に京都の街を徘徊したり、ベースのふじぴーには神戸でラーメンおごってあげたり、紅一点Dr.VoのいくみちゃんにはCDを貸してあげたり。音楽以外はからっきしでダメなやつらだけど、かわいくて仕方ない京都在住の3人組だ。

そんな”加速するラブズ”が満を持して全国リリースする 1st miniアルバムが、「みずいろのなかのラブレター」だ。
レビュー書くにあたり、無理いって一足先にアルバムを聞かせてもらった。繰り返しライブハウスで演奏されていたお馴染みの楽曲たち。そこにはライブハウスと変わらない、等身大の彼らの音楽がしっかりと収められていた。”加速するラブズ”を愛するファンとして、それだけでうれしかった。
彼らの音楽って何がいいのってよく聞かれる。正直、抜群にライブパフォーマンスが素晴らしいわけではない。もっと演奏が上手いやつらもいるし、歌だってうまいやつらもいる。特にカーミタカアキのMCは良くも悪くも滅茶苦茶ひどい(笑)、でも彼らにはそれを補うだけの魅力がある。それはカーミタカアキが生み出す、屈折した青春をキラキラ輝かせようとする純愛に満ちた”加速するラブズ”だけの音楽だ。まるで大槻ケンジの「グミ・チョコレート・パイン」を読んでいるような、陽のあたらなかった青春時代を送った選ばれし者だけが描ける純愛童貞ロック。憧れと衝動にかられたリビドーの歌だ。
そんなバンドが作った「みずいろのなかのラブレター」では、心を鷲掴みされるような印象的なフレーズが並ぶ。
「ラブソングでつくられたこの世界」
(#1 (1993)回目のプロローグ)
「10万回でも100万回でも君とキスがしたい」
(#2 ジュブナイルレポート)
「聖なる夜に君をこじらせて こんなうたを歌っていたいんだよ」
(#5 X’mas song)
「何もいらないだろう 邪魔するなよ 君と僕がこの世界のすべてさ」
(#6 フェアリーテイル)
これがセンスの塊みたいなメロディにのって流れてくるのだから手がつけられない。”加速するラブズ”の新たなアンセムがたくさん詰まった本当に価値のあるミニアルバムだ。全国のリスナーの音楽観を変えてしまえるような一枚になったと確信している。
少しでも興味を持っていただけたなら、全国のレコード屋でCDを手に取ってあげてほしい。あなたの住む街に彼らがやってきたら、ライブハウスに会いにいってあげてほしい。”加速するラブズ”はいつでも最高のスーパーグッドミュージックを鳴らしているから。
Photo:松本いづみ(http://izm1221.tumblr.com/)
2016.09.21 Release
加速するラブズ
1st mini album
「みずいろのなかのラブレター」
品番:DDCZ-2110
価格:¥1,500+税
1 (1993) 回目のプロローグ
2 ジュブナイルレポート
3 はじめてのダンスは君と
4 TRUST MY HEART
5 X’mas Song
6 フェアリーテイル