2018年1月17日に全国流通盤としてリリースされる、宇宙団 2ndフルアルバム『それなりのつよがり』。昨年行われた316NIGHT vol.2にも出演し、2018年注目のバンドとして316がプッシュする宇宙団がリリースする最新アルバムです。作詞作曲を担当するGt.Vo.望月シホさんのインタビューをお送りします。
---1月17日にリリースされる『それなりのつよがり』ですが、まずはリード曲でもある「ヘルプ!」と「ラブリーチューンXX」の2曲について。東京カランコロンのいちろーさんが制作に関わっているとのことですが、具体的にどのように関わったのかお聞かせください
望月シホ(Gt.&Vo.、以下望月): 「ヘルプ!」は、曲の構成を私が8パターンくらい作成したのですが、それをどのようにまとめるのかをいちろーさんに手伝っていただきました。あと、歌詞やアレンジなど、全般にみていただいてます。宇宙団メンバーといちろーさんの5人でつくった感覚に近いです。そして、「ラブリーチューンXX」はここにアコギを足した方が良いなど、主に音作りに関してですね
---この2曲は、どちらの方が先にできた曲でしょうか
望月: 一ヶ月以内に2曲ともできているので、ほぼ平行でつくりました。最初にできたのは「ラブリーチューンXX」で次に「ヘルプ!」です。実際に合わせてみたら「ヘルプ!」の方がバンド映えしたので、こちらをメインにすることになりました
---「ヘルプ!」の歌詞はとてもリアリティある内容ですが、これは自分自身のことでしょうか?
望月: そうです。ただ、方向性についてはすごく悩みました。今回どのようなアルバムを作ろうかという話になって、女のコっぽくて・かわいくて・切なくて・それでもテンションは高くてなどのキーワードが決まっている中で、どんな内容で作ろうかと考えていました。いちろーさんに『シホちゃんは、誰かに頑張ったねって言われたかったり、甘えたいって思ったことはないの?』と聞かれて『ありますね』とか、そんな会話をしながら作り始めました。
3月から歌詞を書いていたにも関わらず、レコーディング当日まで歌詞が決まらないということもあり、これまで作った曲とは異なり徐々に歌詞がリアルになり、最もストレートな内容にまとまった曲です
---これまでは望月さんの中で見えている独創的な世界的な曲が多く、自分の内面を歌っている曲は今まではなかったと思います。その分、この曲はとてもリアルです
望月: 今回はそういうコンセプトということもありますが、私の中ではいちろーさんの仰ったことをなるべく吸収しようと考えていました。。これまでは空想的な曲が多かったのですが、この曲は細かく修正作業を重ねそぎ落とされリアルになった結果ですね
---つよがりとは違うのかも知れませんが、自分が思っていることを表に出せない、そういう人たちに伝わる曲です
望月: つよがりというよりは、嫉妬ですね。嫉妬は誰にもありますから
---望月さんと出会って2年近くになりますが、嫉妬という感情をあまり抱かないのかな思っていました。しかし、この曲についてはその部分が凄く出ていて、特に音源ではその感情がはっきり出ています。その一方、ライブでこの曲を聞くと自分のことを歌っているようには聞こえないです
望月: ライブでは目の前で聞いている人たちにしっかりと届けるのが重要ですが、曲としてメロディーは元気ですが歌詞は内向的な内容なので、音源ではそのような印象になったと思います。今までの宇宙団らしくないので、リード曲にしようということになりました
---今までの宇宙団らしくないということで、まさにいちろーさんも含め5人でつくったという感じですね
望月: 東京カランコロンが好きな皆さんにも、聞きやすいと思います
---ちなみに、アルバムタイトルの「それなりのつよがり」はどのタイミングで決まったのでしょうか
望月: 一番最後ですね、実は私は考えておらず、ちっつ(Dr.ツチダつち)が考えました
---次に「ゲリラアリャマ」ですが、この曲は宇宙団にとっては古い曲ですよね? 私が出会った当初から聞いていた気がします
望月: 中学生の時の曲ですね、『オトメダマ(1stミニアルバム)』に入ってますが、このタイミングで再録しています、アレンジは大きく変えていますね。かなり初期に書いた曲で、そういう意味ではもう成仏させる感じです(笑)。メンバーにはそんなこと無いと言われますが、私はこの曲に自分の才能を一番感じていました、これを書ける中学生がいたらびっくりします。Jazzっぽいけどポップに落とし込んだ曲で、今の自分が書けるかといわれたら、書けないなと。
あの頃だからこそ書けた曲で、最近の宇宙団の曲が好きだとよく言われますが、私自身は昔の自分の曲も好きです。当時はポップだとかライブの盛り上がりとかを考えずに作った曲ばかりですが、今だとどうしてもそういうことが頭をよぎってしまいますから。まさに、あの頃にしか出せなかった曲です。あと、アキちゃん(Ba.アキカワノ)がJazzが得意なので、今リアレンジしたらあの時とは違うポップ感やおしゃれ感が出せると考えてこのアルバムに入れることにしました。
今回の『それなりのつよがり』に入れる曲については、「陸上生活」とどちらにしようか悩みました。『オトメダマ』は演奏は下手ですがアレがベストな気もしていて、「陸上生活」はあのミニアルバムの中で一番思い入れがある曲で、あの時のままで終わらせてもいいかなと。でも、この「ゲリラアリャマ」については、もうちょっといけると思い、このタイミングで再録しました
---次に「文明鎮座」について。ずばり、「文明鎮座」とはどういう意味ですか?
望月: 私もよくわからないです(笑)。なぜか「文明鎮座」という言葉が思い浮かんで、ちっつに『文明鎮座っていう響き良くない?』とLINEしたら『確かに』と返信がきたので、タイトルとして使うことを決めました
---タイトルから生まれた曲だったのですね。あと、サビラストの「文明が鎮座したならば時代は二倍に加速する」という部分がどうにも解釈不能で
望月: 考えちゃだめな部分です(笑)、自分でもわかっていなくて。語呂だけは最高によいですけどね、もしかしたら語呂のことしか考えていなかったのかも
---確かに語呂はよいですね。ただ語呂や響きだけではなく、この部分にはある種の凄みがあり、予言的で怖いとも感じます
望月: この曲を作った背景として、就職活動がはじまってすぐに合同説明会でお台場にスーツを着て行ったのですが、嫌すぎて会場に入らないでそのまま帰ってしまいました。何しに行ったって感じなんですけど、「人がいっぱいいる、無理だ、、、」って。その時の事を思い出して、書きました
---えっ?
望月: 私は自分の見た景色から曲を作るのですが、あの光景を見た瞬間これは軍隊だと思いました。就職活動がはじまったらみんな行かなきゃいけないわけです、それまでは何も考えていなかったのに、その瞬間からみんな同じような格好をして。あの光景を見て、自分には向いていないと。実際にそのあと体調を崩してしまって、、、(笑)。
歌詞の「残された者に明日はない!」の部分に出ていますが、取り残されたらここには戻って来れない、自分は頑張っているのにどんどん抜かされていって。みんな頑張っているけど、本当にそれは正しいのか本当にそれが正解なのか、考える暇もないまま全部終わってしまい結局時代に追いつけない。そういう流れが来たら時代には誰も追いつけない、取り残されるのか考えないまま頑張り続けるのか、その戦いをずっとやっていかないといけない、というのがこの曲の趣旨です。それをわかりにくく書いているから、余計に伝わりにくいですね
---そういうことなのですね。でも「文明が鎮座したならば時代は二倍に加速する」はわからないです。望月さん的に思い浮かんで使うと決めていた言葉なのでしょうね
望月: まあ【宇宙団節】ですかね、訳がわからないという(笑)
---宇宙団は詞の解釈が難しい曲が多いです。内容を考えるとよくわからない、でも、いい曲なんですよ。多くの人はそういう印象を抱いている気がします
望月: そうですね、メンバーもわかっていないと思いますから、私しかわからないけどそれでいいです。この曲に関してですけどね、「ヘルプ!」とかはちゃんとわかってもらいたいですけど(笑)
---「ヘルプ!」はさすがに大丈夫ですよ、メンバーはもちろん、多くの人に伝わる曲です
---続いて、今回のアルバムの最後に入っている「日本のヒーロー」について
望月: これは昔作った曲で、まだバンドをはじめたばかりで演奏も下手な時代に、私たちのことをかわいがってくれたブッキングの方がいらっしゃって、その方がブッキングを辞められるとうかがい、これからも頑張ってもらいたい気持ちで書いた曲です。結局辞められるタイミングには間に合わず、というよりは間に合うも何もそれから1年近く経ってからできた曲です。
前のアルバム「星眠る島」が完成して次にどんな曲を作ろうかと考え、思い入れがあったこの曲を仕上げることにしました。この曲も「ヘルプ!」に通じる点がありますが、頑張ってきた人は報われないことが多くて、別のステージに移ることはさみしいけど今まで以上に幸せになってほしいという想いを込めて作った曲です。タイトルの「日本のヒーロー」は、その方は私たちにとってはヒーローだったということです。素直には伝えられなくて、こんな歌詞になっていますが
---この曲は宇宙団の中で最も盛り上がる曲ですよね、体が勝手に動く、動かざるを得ない感じの曲です
望月: まさにアキちゃん(Ba.アキカワノ)のベースになってやるべき曲でした、このタイミングであっていたと思っています。リズムベースの部分があり、リズミカルで難しいことをやっています
---『HIT!』の部分のゆう子さん(Key.)の決めポーズもとても印象的です。そして、この曲が最後に入っているのが、また絶妙です
望月: 悩みましたが、やはりこの曲がラストだろうと。ゆう子が言うには、「ヘルプ!」ではじまって、辛くても負けないで頑張っていこう、そんなアンサーソングとして「日本のヒーロー」を最後に入れるのがいい、ということですね
---そして、冒頭でもうかがいましたがいちろーさんが関わったもう一つの曲、「ラブリーチューンXX」について
望月: この曲は、冒頭の『ノスタルジック・ラブリーチューン』の音程と歌詞が思い浮かび、その場で電話しているフリして歩きながら録って(笑)、その部分を軸に書きました。だから、本当に深い意味はないです。言葉としての意味はあまりないのですが、語呂とツインボーカルであることを意識しました
---カワノさんとのツインボーカルという扱いなのですね
望月: そうです、ツインボーカルでやりたい、追っかけ(サビ部分)を絶対にやりたいと思っていました。お互いにタイプが全然違う声で、いちろーさんがふたりの声質が合わなすぎるからCD音源ではダブルにしようと提案され、ダブルにしたところ明るいトーンでまとまりました
---歌詞的にはどうですか
望月: 最初、女のコっぽくてテンション高くてと言われたら恋愛だろと、安直ですが。恋愛しかないだろテーマはと思って書いたら、いちろーさんに『そういう方向じゃない』と言われ、「ヘルプ!」に近い方向性になりました
---アルバムの気になっている曲についてうかがいました。続いて、先日撮影されたMVについてお聞かせください
望月: 「ヘルプ!」のMusic Videoを、『Su凸ko D凹koi』や『みるきーうぇい』のMVも作られた吉田ハレラマさんに撮影していただきました。朝3時に集合して、9時から5時まで撮影で大変でしたが、撮影は楽しかったですね。とても良いMVになりました
※このMVは、1月4日に公開されました
望月: 本当はもう一曲、MVを撮りたいのですが、まだ決まっていないです
---ぜひ、期待しています。それでは、最後にアルバムのPRをお願いします
望月:厚かましいですが、プロデュースしていただいたいちろーさんの東京カランコロンの持っている良さと宇宙団の持っている良さは共通点があると感じています。今までよりも聞きやすくポップで、本当に頑張って作りました。自分自身でも良いアルバムだと思っているので、ぜひ聞いていただきたいです
---東京カランコロンファンの皆さんにも、ぜひ聞いてもらいたいですね
望月: そして、レコ発で新曲をやる予定で、これもとても良い曲です。このアルバムを制作した上で作ったと感じられる曲なので、レコ発にもぜひお越しください
---レコ発なのに次の新曲も披露されるのですね。さらに楽しみが増えました! ありがとうございました
宇宙団のインタビューは2回目ですが、今回は詞の内面的な部分をより深く聞くため、望月さん単独で話を聞かせていただきました。東京カランコロンのいちろーさんにプロデュースされたこともあり、これまでの宇宙団とは違う曲もあれば、これまで通り一筋縄にはいかない曲もあります。それでも、アルバムタイトルでもある『それなりのつよがり』がしっくりくる、そんな1枚に仕上がっています。
昨年はかなりの本数のライブを重ねていた宇宙団ですが、1月は17日のアルバムリリースを経て、19日下北沢mona recordで行われるリリースミニパーティーと31日新宿Motionで行われるリリースパーティー、2本のライブのみ。そういう意味でも、宇宙団にとって『それなりのつよがり』には特別な想いがあるのでしょう。
2018年注目のガールズバンド「宇宙団」の2ndフルアルバム『それなりのつよがり』は、1月17日(水)リリース。全国のタワーレコードなどで予約できますので、ぜひご予約ください。
タワーレコード オンライン:それなりのつよがり
宇宙団2nd full album「それなりのつよがり」
発売日 : 2018年1月17日(水)
価格 : ¥2,000(税込)
品番 : WBSB-0112
収録曲:
M-1.ヘルプ!
M-2.文明鎮座
M-3.しあわせ宣言
M-4.ラブリーチューンXX
M-5.ほどける
M-6.ゲリラアリャマ
M-7.夏に寄せて
M-8.日本のヒーロー
タワーレコード オンライン:それなりのつよがり
【ライブ情報】
☆2018年1月19日(金)下北沢mona record 宇宙団2nd full album「それなりのつよがり」release mini party!!~ビッグラブをお皿に添えて~
出演 : 宇宙団 / UlulU / ふるかわののこ
open 19:00 / start 19:30
ticket : ¥1,000 (別途2drink)
※ニューアルバム『それなりのつよがり』CD or 予約・購入がわかるものを提示でチケット代無料
※サイン会あり
☆2018年1月31日(水)新宿Motion 宇宙団2nd full album「それなりのつよがり」release party!!
出演 : 宇宙団 / いちろーとせんせい(from 東京カランコロン) / FINLANDS / 羊文学
open 18:30 / start19:00
ticket 前売 ¥2,500 / 当日 ¥2,800 (別途ドリンク代)
学生証提示で¥2,000(ドリンク代別)
チケット一般発売プレイガイド e+
http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010163P0108P002243953P0050001P006001P0030001
※学割はバンド取り置き分のみのため、学生の方は下記メールアドレスまで公演日時、お名前、枚数を明記のうえご予約お願い致します。
宇宙団 senduchudan@gmail.com