2019年1月9日に、新しいシングル「ONGAKU」を配信でリリースした『カトキット』 。2月9日には下北沢MOSAiCにて2回目となる東京でのワンマンライブ『ONGAKU』を開催します。シングルそしてワンマンライブ開催にあたり、どのような想いが込められているか、カトキットの3人のインタビューをお送りします。
---11月のMOSAiCでの企画で初めて聞いた「ONGAKU」。1月に配信でリリースされ、音源としても「ONGAKU」を聞きました。一言で感想を伝えるのが難しい曲です、その上で単刀直入に伺いたいのですが、「なんかあった?」
あっけ(カトキット Vo、以下あっけ): あはははっ、「なんかあった?」って。「ONGAKU」は1年前からあった曲で、どうやって形にしようかとずっと悩んでいて。また、それとは別でワンマンをやりたいという気持ちがあって、まずワンマンの日程を決めワンマンをやるならその前にこの曲を出そうと。それがなければ、永遠にこの曲は寝かしたままになっていたかもしれない
コバヤシヒロユキ(カトキット Dr.、以下コバヤン) : レコーディング直前まで、別の曲を録るつもりやったもんな。2週間くらい前になって、あの曲を録ろうや、って急に変わった
あっけ: この1年、言葉のない音楽しか聞いていなくて、歌詞がないとかインストとか。あと洋楽とか、私にとっては同等なので(笑)
ジャパニーズ田中(カトキット Ba.、以下ジャパ): あっけからみれば、洋楽は歌詞がないに等しいな
---「ONGAKU」が披露されるまでにそのような経緯があったのですね。文字数的には150文字に満たないわけですが、歌詞の解釈がとても難しい曲です。noteにもいろいろ書かれていますが
あっけ: あはは、暗いでしょ。江國香織さんの小説で、「電車が駅について、駅のホームに降りて足をつけた瞬間に、孤独が襲ってきた」みたいな一節があって、寂しさはそんな感じで一瞬で訪れたりしますよね。この歌で共感を得られるとすればそんな瞬間という感覚ですね。日常的に訪れるそんな瞬間です。
1曲目が「ONGAKU」で2曲目が「喪失」。「ONGAKU」で一旦終了して「喪失」で希望を持たせる、それがキレイにできていると考えています
---「ONGAKU」については、何かがしんでしまったのかな、と感じました
あっけ: わかってくれるんですね、真意的にはそうなんです。ライブでやった時にファンの人がこの曲についてつぶやいてくれていることが面白くて、いろいろな捉え方があるなと。そういう意味では、とても可能性を感じました
---「ONGAKU」は3人で歌っていますよね、あっけちゃん以外の2人がコーラスというわけでなく
コバヤン: 3人で歌っています
あっけ: そうなんですよ、なんなら私がコーラス部分を歌ってますから
---3人で歌っているというのが、とにかく意外で
あっけ: 私が歌ってほしいとお願いしました
ジャパ: 自分自身歌いたくないってことはないですし、なんだったら俺は歌うことに憧れがありますから
---音源で聞くと、ジャパがメインに聞こえます
ジャパ: そうですかね?
あっけ: 一番まろやかな声をしていますね
コバヤン: 確かに
---そして、ライブでこの音源の雰囲気を出すのは、とても難しそうです
あっけ: 音源は、めちゃくちゃいじってますからね
ジャパ: エフェクトのかけ方もありますからね
---今までカトキットには、なかったタイプの曲です
あっけ: ほんまに自由になりたいんですよ、いろいろやりたいんですよ
ジャパ: その結果、リリース後にいろいろ想像してこの曲のことを言ってくれているのは、今までになかった手応えだと。とてもいい経験になっていると、ひとしきり思っています
---ツイッターに書いていましたが、音源ではシンセベースを使っていますね
ジャパ: テイストですね、今回はシンセベースの方がいいだろうと。ライブでは1回だけ使ったことがありますけど
あっけ: 音的に丸い感じで、特に低音がね
ジャパ: 低音がうわーって出せたりしますから
あっけ: こっちの方がいい、イメージに合う。この曲については私の中のイメージがとても強くて、こういう曲にしたいというのがハッキリしていました。ドラムでパットも叩いてもらってますし
コバヤン: そうだよね、曲を練ってる段階はいろいろやりましたから
あっけ: そう、練ってる段階はめちゃくちゃいろいろやりましたよ。1年間いろいろやったよなぁ、コードから、構成から
コバヤン: すごくシンプルな曲だから、これって決めるのが難しかったな
あっけ: 最後、これでいいやんというところがハッキリとしたから、最後に大サビをつけるとかCメロで転調とかいろいろあったけど、このまま流れるように終わってほしい。今回は全ての判断を自分でやりましたね
---「ONGAKU」「喪失」この2曲の組み合わせで考えると、バンドとして新たに生まれ変わるのかなと感じました
あっけ: 正解ですよ
コバヤン: 「雨ニモマケル」と同じバンドとは思えへんよな
---一旦、過去の自分たちに縛られずにいきたいのかなと
あっけ: まさにその通りです
コバヤン: なんせ、過渡期やしな、カトキットのバンド名の由来は
あっけ: 歌詞についてはコンセプトがあって、代表曲と言われている「快感音楽」の『ああいう感じの歌詞』という所にこれまでとらわれていた部分があるので、そこから解放されたい。もちろんそれを捨てるわけじゃないけど、あの頃の感覚は自分の中では大分抜けているので、そこにこだわらず150字以内に
---歌詞が150字以内、さらに繰り返しているから言葉の数が少ない。だから余計に、言葉にならない不安を感じていました、やはりしんでしまったのか、と
一同: (笑い)
コバヤン: 確かに突然音楽性が変わったら、びっくりしますよね
あっけ: ジャケットとかも一新しましたし
コバヤン: 僕の距離感がおかしいって噂の、、、。いや、別にいろいろ撮った中で良かったのがこの写真だった、それだけですね
---ジャケットの写真ですが、これはどこで撮影されたのでしょうか
あっけ: 京都の宝ヶ池公園ですね、幽霊が出ると有名な、、、
コバヤン: 夜中に
ジャパ: めっちゃ静かだったな
コバヤン: ホントはガイドブックとかで使われるような写真も撮れたんやけどな
---ジャケットもそうなのですが、やはり「ONGAKU」というタイトルが、、、得体の知れない感が出ています
あっけ: そうでしょ! しかもローマ字表記なので、より得体の知れない感じがするでしょ
---そこもちゃんと狙っていたのですね、完全にしてやられました
---そして2月9日に下北沢MOSAiCでワンマンライブがあります。そもそも、なぜこのタイミングでワンマンライブをやることになったのでしょうか
あっけ: いつしぬかわからないじゃないですか、、、いつしぬかわからないから、やりたいことは全部やっていこうと思って
---関西ではなく東京というのは?
あっけ: 下北沢MOSAiCという場所で、一回やりたかったんですよ
コバヤン: それは、東京にライブで来た当初から言ってましたね
あっけ: MOSAiCで一回やりたい、一回決めよって
ジャパ: わりかし早い段階で決まってましたね
コバヤン: あまりにも去年が動いてなかったから、2月にワンマンをやるというゴールを決めていました。あの10月と11月の企画を発想する前から、ワンマンは決まっていましたから
あっけ: ワンマンのテーマも「ONGAKU」なんですよ
---なんというか、そこにも得体の知れない感が、、、ちなみに、ワンマンなのでたくさんの曲をやりますよね
あっけ: 2時間くらいですかね
ジャパ: 新旧の曲を織り交ぜ、まあ間で何かをやってごまかすかもしれないですけど
あっけ: やらへんって
コバヤン: もしかしたら、カルト香川クイズがあるかもしれないですし
*香川県はジャパニーズ田中の出身地
---あれね、ほんと悔しかったですよ、間違えたの。あそこまで正解して勝ち残っていたのに、池の数はわからないですって!
あっけ: ちゃんと、覚えてる
---で、ちょけるわけですか?
*ちょける:関西弁でふざけるの意
あっけ: それはもうエンターテインメントに満ちた、カトキットと言えば面白いこともしますよ。「ゆーの」からアイドルまで対バンできる数少ないバンドですから。様々なジャンルと組み合わせていただいて大丈夫だと、その振り幅を全力でお伝えしていきたい
ジャパ: 自分らだけでもこんだけ見せられるんだぞと
あっけ: コントから始まりね(笑)
---やはり、やるわけですね
コバヤン: そもそも、ワンマンとか企画したらそういうのやりたがるし、むしろそこから決めたりするしな
---コバヤンはそういうことをあんまりやりたがらない印象がありますが
あっけ: 違いますよ、コバヤンが1番通ってる案を出していますから。シュールなことをすぐに考えるから
コバヤン: 自分でやるイメージは、全然思い浮かばないけど
あっけ: だから、人にやらせる。その割に、すぐに言い出すよな
ジャパ: でも、コバヤンには演技をしてほしい、大根な
コバヤン: あー、大根演技をしてほしいの?
あっけ: ちがうちがう、演技したら大根演技になるやん
コバヤン: あーーー
あっけ: 「あっけ、頑張れよ」みたいなやつ
---あのお蔵入りの映像での演技ですね
コバヤン: 、、、やっぱ、素人があんなんやるべきじゃないと思いますね
---ファンにとってはたまらないです、「はわわわあああ」ってなりました
ジャパ: 悔しいのは、後で振り返るともっとできたんじゃないかって
あっけ: ただ、田中氏は演技が上手い
コバヤン: 確かに
---なんですかね、ジャパについてはそもそも生きていること自体が演技なんじゃないかと
ジャパ: それはいい指摘です。僕は常に演技です
---こわい、自分で言っておきながらなんですが。違う、ワンマンの話でした
コバヤン: ある意味ワンマンは自分たちへのご褒美的な意味がありますからね。自分たちのお客さんしかいないわけですし
あっけ: いろいろなことを諦めていた時期があって、CD出しても売れへんし、配信したってプロモーションがかけられるわけじゃないし。そんなことを思いながらも、やっぱりやりたい、自分自身を振り絞ってワンマンをやる、それが本当にリアルな感覚です。
今回、ワンマンに向かって何ができるのか考え、シンプルに音源をリリースして話題を集めることにしました。実際にリリースして良かったのは、最近カトキットから離れていた人たちにも聞いてもらえました。
---そのような経緯でリリースがあり、ワンマンに挑むわけですね。「ONGAKU」を聞くと諦めという感情の先にある、言葉にするのが難しい何かを感じていたのですが、やはりそういうことだったわけですね
あっけ: でも、ワンマンに来てくれる人には、単純に遊びに行こうかなという気分で来てほしいです。タイトルがどうとか、自分たちの想いだとかは関係ないです。リリース記念ワンマンだとか、なにか区切りのワンマンというバンドが多いわけですが、私たちにとって節目のワンマンという訳ではないですから、そんなふうに思ってくれた方がうれしいです
---なんですかね、「ONGAKU」という曲がそのくらい何かを感じてしまう曲なんですよ
あっけ: 感じる人は、感じ取った上で来てもらったらいいです(笑)
---「ONGAKU」はカトキットとしても新しいですし、そもそもこんな曲は無い気がしています
あっけ: 確かにあそこまで80年代ポップな曲を鳴らしているのに、こんなに絶望的なことを歌っている曲は、まあないですよね
---そういう意味では、カトキットとしてはぶれていないですよね
あっけ: 全然ぶれていないですね。完成した音源を聞いて、ぶれていなかったなと思いました。でも、メロディとかはめちゃめちゃ切ないです。入っている音については、その点を意識しましたから。シンセサイザーについては歌詞とリンクしたメロディーになっています、音だけがポップです。だから、気持ち悪さがあるのかもしれないです
---そういうことか、不安な感覚の要因がハッキリとわかった気がします
---最後に、ワンマンに向けて意気込みをお願いします
コバヤン: いつも応援していただいているお客さんに、「ありがとうございます」という感謝の気持ちで、ワンマンライブをやらせていただきます! ぜひ、遊びに来てください
ジャパ: そんなに思いが詰まっている訳ではなくて、みんなが考えているようなことはたぶんないと思います。その分、肩肘を張らずに楽しめます。一方で、期待されているような変なことはすると思いますので、そこは温かい目で見守ってくださったらうれしいです。ご期待ください
あっけ: 4回目のワンマンライブです。最初は何もわからずにやっていましたが、結構慣れてきた4回目のワンマンライブですので、きちんとエンターテインメントとして完成させ楽しんでもらえるように頑張りたいです。そして、新しい曲も何曲かやる予定なので、楽しみにしてもらえたらうれしいです
---え、新曲ですか? 何曲か? 初出しですか?
あっけ: いや、ライブで披露している曲もありますが、音源になっていない曲を何曲かやります。そして、過去の曲は全部やります!
コバヤン: カトキットは大体そうやな
ジャパ: アレもやります、コレもやります
---ありがとうございました。2月9日、楽しみにしています
「ONGAKU」という曲、そして「ONGAKU」とタイトルづけたワンマンライブ、この2つがセットで未来のカトキットへとつながる。「ONGAKU」という曲と、このインタビューを通して、うっすらと感じていたことが確信へと変わりました。
昨年11月にMOSAiCで開催された企画で初めて披露された「ONGAKU」は、ライブの回数を追う毎に進化しています。音源とは違う、ライブでの完成形を2月9日に聞くことができるでしょう。カトキットのONGAKUで満たされる夜、ワンマンライブ当日はとにかく楽しみたいです。
『カトキットワンマンライブ “ONGAKU”』
2019年2月9日(土)
下北沢MOSAiC
カトキット<ONE MAN>
OPEN 18:00 / START 19:00
前売 ¥3,000 / 当日 ¥3,500 (+1Drink¥600)
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