2020年1月11日に下北沢MOSAiCにて開催される316NIGHT vol.12『Thank you SHIMOKITAZAWA』、このイベントに出演する「ねこね、こねこね。」のインタビューをおおくりします。
「ねこね、こねこね。」との出会いは2016年2月の下北沢Shelter。お目当てのバンドの対バン相手でしたが、とてもふわっとしてかわいらしさあふれる中に一本筋が通った曲ばかりで、一発でその世界観に惚れてしまいました。
実は以前にも316NIGHTへの出演を打診していたましたが、こちらの都合で開催に至らず。それが今回念願叶い、3年越しで出演いただくことになりました。
2018年6月名古屋で開催されたSAKAE SP-RING(サカスプ)でのライブから長らく活動が止まっていましたが、2019年9月に『森の中で』をYouTubeで発表し再びバンド活動が動き始めました。そのあたりの経緯や今4人が考えていることを伺いました。

(喫茶ギャラリーGekiにて)
---ライブは2018年6月のSAKAE SP-RING以来ですが、この1年半弱の期間は何をされていたのでしょうか?
かみずる(Gt.Cho.): 空白の一年半
むらまつ(Vo.Gt.): 各々違うとは思います
かみずる: 実際、スタジオにも入ってないよね
むらまつ: 1回だけ夏に入った
かみずる: それって、サカスプから1年後くらいだよね
てらこ(Ba.Cho.): そうだと思う
かみずる: だから、サカスプ後は本当に何もしていなかったです、ほぼ会ってもいない
たけうち(Dr.Cho.): 4人で集まることはなかったね
かみずる: ご飯とかは行ってたけど、本当に空白の1年半でしたね
---夏に突然スタジオに入ったとのことですが、それはどのような経緯で
かみずる: そろそろ1回くらい入っておきますか、みたいな
たけうち: てらこがやりたがってたんじゃない?
てらこ: いや、なんでもかんでも俺のせいにするなよ(笑)
---なんとなく、みたいなテンションですか?
てらこ: ここの2人(かみずるとてらこ)で飯にちょいちょい行ってて、その流れだった
かみずる: そろそろやっておかないと、なまっちゃって曲も全部忘れちゃった、みたいなのはあったよね
---バンドとしての活動が止まっていた間は、それぞれ音楽活動はされていたのでしょうか?
たけうち: 私、全く何もしてない
てらこ: 私も
かみずる: アーティスト活動は基本的にはしてないですね
むらまつ: とても休んでました
---それぞれ、バンド活動からは離れていたわけですね。今回出演に至るまでの経緯を振り返ってみたのですが、7月末に下北沢の駅前でかみずるさんとたまたま再会して、8月にダメ元でライブのオファーを連絡、9月に出演いただけるとご連絡をいただき、その直前に「森の中で」が突然YouTubeにアップされ、10月1日にこれまた突然「2年間の共同生活開始」宣言です。突然活動が再開したのも驚きましたが、さらにその先にまで行ってしまった感覚なのですが
全員: (笑)
かみずる: それはマネージャーにも言われました
---なぜ、一緒に住む話しになったのでしょうか?
かみずる: 住もうという話しの前ですが、夏にいろいろありましたね。Sound & Recording Magazineのレビュー記事の打診が8月初旬に草間さんからありまして、そもそもそのお話を受けたのは、サカスプのライブ後からバンドとしてはリミットのない生活をしていて、そろそろリミットがあるモノにアプローチしないといけない、何かを出すべきだと思っていました。それで、スタジオに入ったのが8月の、、、
たけうち: 8月の下旬じゃない
かみずる: その時に個人的にはこのスタジオが、このバンドとしては最後だと思って入りました。これで、まあ、いいかと。『森の中で』のアレンジも上がっていたのでそれをスタジオでみんなで聞いて、その後みんなでご飯を食べていたときに、「住むか」みたいな
---え、突然? 誰が?
てらこ: かみの一声です
かみずる: もう、辞めるか住むかだったんですよ。単純に辞めようかなと思ったのは、割と長い年数バンドをやってきたし
むらまつ: 結成としては9年ですね
かみずる: 来年10年なんですよ、実は。最初の頃はオリジナルはやってなかったですけどね
むらまつ: 最初の3年間ぐらいはコピーです
---確か、元は大学の学園祭の為に組んだバンドですよね
てらこ: 2・3週間だけ集まってやるという感じ
かみずる: そこからはじまって別にずるずると続けるモノでもないと思っていて、それぞれの人世もあるし一つのバンドにこだわる理由も無いし、バンドを辞めるからって音楽を辞めるわけでもない。ずるずるとライブのお誘いが来たからやろうみたいなことはしなくてもいいと思って、その日にスタジオに入ってこのあたりで1回しめますかという気分でした。スタジオまでの一ヶ月弱の期間に、これで最後にするのかそれとも一緒に住むかということを考えていたのですが、スタジオに入ったらこれは住む方だなと
---そのことをかみずるさんから言われて、みなさんどう思われましたか?
むらまつ: 実は2018年の春頃にも、みんなで住んだら制作がはかどってよさそうだよねと軽く話をしたことはあったのですが、その時はあまり現実的に考えていたわけではなかったですね。その上でこの話を聞いて最初は「いまさら?」と思いましたが、確かにスタジオに入ってみて住むか辞めるかなら、どっちかと言えば住むなのかなぁと
たけうち: また冗談言ってるんだって(笑)。以前に話してなくなったから、また言ってるって。でも、思いのほか真剣だったので、ちゃんと考えようって
かみずる: やさしい
むらまつ: ホントに優しい
てらこ: 久しぶりにスタジオに入ってみて、ああなんかいいなぁと思って。りょうちん(かみずる)とそのことについて話していたこともあって、自分の中ではすんなりと入ってきました、もちろん少しは戸惑いましたけどね
---スタジオに入って4人で音を鳴らしてみた、そのことがとても大きかったわけですね
かみずる: それは間違いないですね、それが全てですね
---ちなみに、その時にすでに物件の目星をつけていたりとか
かみずる: あ、物件は、、、
むらまつ: 見てたよね(笑)
たけうち: こんなとこあるんですよー、って言われたもん
---見てたわけですね、本当に住もうと考えていた
かみずる: これしかないよな、間違った選択ではないことはわかっていました。住むとしてもだらだら続けるつもりはなく一旦2年で区切ろうと思っていて、それだったらありかなって
---そしてすでに皆さんで住んでいるわけですが、すでに制作もしているのでしょうか
かみずる: していますね。半地下の部屋があって、ご近所もそんなに近くないので
---皆さんもちろんこのような体験は初めてだと思いますが、どうですか?
むらまつ: まあ、なんか、普通だよね
---普通、、、家に帰ったらメンバーがいるんですよ?
むらまつ: なんだか、それも違和感がないんですよね。元々一緒に暮らしていた感がありますね、自然な感じですね
てらこ: 猫たちもすぐに慣れてたよね
むらまつ: 2匹います
かみずる: とりあえず、服に毛がつくぐらいで
むらまつ: ごめんなさい(笑)
---正直、さらっと聞いただけだとイメージが湧かない訳ですが、なんだかこのバンドだったら違和感がない気もしますね。このバンドなら緩やかに音楽が作れる環境があることが、とても価値があるんだろうなと思いました


---他にもメンバーみんなで住んでいたバンドを知っていますが、どのバンドもものすごくストイックでシビアな感じなんです。ただ、「ねこね、こねこね。」はそういう感じではなくて、緩やかに音楽を作っている印象ですね
かみずる: それとは完全に逆ですね。ガッツリやるやり方を否定するわけではないのですが、そもそもこの活動を続ける上で我々はそのやり方でないことは明確です。
バンド活動とは別の仕事をしている期間に、ガッツリやるひとはいくらでもいるしそこに才能がある人もいるけど、そうじゃない人の中にも才能がある人がいました。色々な才能がある人と出会い今後自分がしたいこととして、ガッツリとしたやり方では消されてしまう才能をちゃんと育てられるような環境を作りたい。そう思ったと同時に、それをまずはじめられるのはこのバンドのメンバーじゃないかと。それで、一緒に住むところからはじめました
---そういうことだったわけですね、まさに「ねこね、こねこね。」だったからこそはじめることができた、とても納得できました。そして、ちゃんとした考えがあっての事だったわけですね、単なる思いつきではなく
かみずる: いや、思いつきですよ(笑)
---え(笑)
---話は変わって『森の中で』について、この曲はいつ頃できた曲でしょうか?
むらまつ: 2019年の2・3月頃ですかね
---とても不思議な曲だと感じていますが、どのような経緯で生まれた曲でしょうか
むらまつ: 『かいじゅうたちのいるところ』と『ことばの海』の延長にある曲ではありますが、「よし曲を作ろう!」という感じではなくその時の気分で曲ができることが多いので、説明が難しいですね。でも、メンバーで話をしていたときにミヤコちゃん(たけうちさん)が「前向きな曲だよね」と言ってくれて、自分の中では暗いとか明るいという意識はなかったのですが、聞き返してみると前向きだなと。暗さの中に前向きがある、割と“陽”寄りな曲なのかなと
---『タイヤの恐竜』みたいに、具体的なモチーフがある曲とは違いますよね
むらまつ: 『とつくにの少女』という漫画を読んでいて思い浮かびました、そこから影響は受けていますね
---ちなみに、他に作っている曲はありますか?
むらまつ: 割とポツポツとあって、アレンジをどうしようという曲があったり、まだそこまでいっていない曲もありますが、完成は、、、
---まさにその曲を仕上げるために、一緒に生活をしているわけですよね
むらまつ: 本当に、そうですね

---それでは、1月11日の話しについて。久しぶりのライブとなりますが
かみずる: 出演することが決まってからも、やっぱやりたくないなって
一同: (笑)
かみずる: やりたいかやりたくないかじゃなくて、やるしかないという感じ。でも、ライブに出るのなら下北さん(インタビューアー)のイベントかなと思っていて、だからあの日に会いに行ったんですよ、そこに行けばたぶん誘ってもらえるなって。それで、下北さんのイベントに誘ってもらったって言えば、みんなで出ることになるんじゃないかって
---突然だったので本当に驚きましたが、たまたま下北沢の駅前にいることをツイートしてたんですよね。本当にありがとうございます
かみずる: そんなに、すごいモチベーションがあるわけじゃないですが
むらまつ: それはまたちょっと語弊があるけど(笑)
かみずる: 一緒に暮らすにあたって、また以前のようにライブをやっていこうという話しでもなかった。世の中に反抗している感じですが、別にライブじゃなくてもいいか、みんなで作品をつくって届けられればどんな形でもいいんじゃないか、みんなで作品を作り上げることが第一だから。でも、実際にみんなで生活を始めて、手探りの中でひとつのライブに向かって一緒に色々やっていくことはいい機会だなと。すごく、いい機会だと思っています、楽しみです
---どうですかてらこさん、たけうちさん、久々のライブですよ
てらこ: めっちゃ楽しみっすよー
たけうち: そんなに、久々だわーやばいわー、という感じでもないですね。力が入り過ぎないようにしたいな、という感じですね
---むらまつさんもライブはされてなかったですか?
むらまつ: やってないですね、久々ですね
---ちなみにMOSAiCには出演されたことありますか?
むらまつ: ないんですよ、出てみたいと思っていました。ライブハウスではあまりやりたくないという気持ちがあったのですが、下北さんのお誘いであることとMOSAiCだったということが大きかったですね
---そうだったのですね、MOSAiC開催にしてよかったです。ちなみに、このライブ以降で決まっていることはありますか?
かみずる: なにも決まっていないですね
---次のライブは?
かみずる: ないです。下手したら、本当にないかもしれないです。ラストライブになるかも
---えーーー、それは困る(笑)。ちなみに、リリースの予定もないですか
かみずる: 明確には決まってないです。でも、意欲だけはあります
---すごいな一緒に住んでいるのに、本当に何にも制限されていないですね
かみずる: そもそも、根を詰めてまでやるようなことだとは思ってないです。血のにじむような所からは我々は何も出てこないですから、気負いもしていないです。でも、ポロっと出てきたものに対して、それをちゃんと形作れないのはよくないので、環境と時間を用意した感じですね
---それにしてもすごいことです、ライブ予定がないって
かみずる: 漠然とワンマンはやっておきたいなと
---ワンマン! ぜひやってください! ワンマンライブはやったことはありますか?
かみずる: やってないですね、そもそもライブの回数も足と手の指で数えられるくらいですから
むらまつ: それは言い過ぎかも知れないけど(笑)
---確かに、そもそも100本とかやっていませんよね。今回のライブもとても貴重なものになりそうです
むらまつ: ライブをするチャンスをいただいて、これがなかったらライブをすることは無かったんじゃないかと
かみずる: たぶんやってないですね、通常のブッキングライブには出る予定はないので
---本当に本当に、ありがたいです。楽しみにしています!
取材協力:喫茶ギャラリーGeki



2020年1月11日(土)
316NIGHT vol.12
『Thank you SHIMOKITAZAWA』
下北沢・MOSAiC
ADV 2400円(+1D)/DOOR 2900円(+1D)
学割:大学・専門学生以下1400円(+1D) *学生証提示
OPEN 18:00/START 18:30
[出演]
・あのね
・ねこね、こねこね。
・弥生時代の末裔(京都)
・バニラエクストラクト
・フルー
チケット予約: https://316.rocks/316night-12/